東大で昆虫福祉のワークショップ
こちらのプログラムの一環として、実施してきました。
参加者は大学院生や社会人、教員などで、大変楽しいワークショップでした。
昆虫の福祉(ウェルフェア)は、日本ではほぼ皆無の議論です。
昆虫でウェルフェアなんてやりすぎでしょ!とか思う人が大半かもしれませんが、食利用に向けた昆虫の養殖が盛んになるにつれ、昆虫の家畜化が進み、昆虫をどう適切に扱っていくかはいずれ議論しなくてはならないだろうといわれています。最近ヨーロッパでこの昆虫ウェルフェアの議論が少しずつ出てきています。
実は、私は今から約10年前にやや前のめりに昆虫福祉の記事を書かせていただきました。以来いくつか論文も出させてもらいました。
日本でも、昆虫食関連の論文に目を通していると、昆虫のウェルフェアに触れている箇所に時々出くわすようになりました。しかし、議論というにはまだほど遠いものです。
なかなか進まない理由の一つは、従来の家畜である鳥や豚、牛とはずいぶん生理機能が異なる点が挙げられます。昆虫に意識はあるのか、主観性はあるのか、痛みを感じて苦しむことはあるのか、昆虫にとって健全であること幸福であることとはなにか・・・等々、今の科学技術で解決することが難しいテーマが沢山あります。
とまあ、昆虫のウェルフェアについて簡単に話すだけで、ずいぶん字数を割いてしまいました。
それくらい、説明が必要なワークショップを作るわけですから、なかなか難しいものだろうと思ったのですが、大学院生をはじめとする運営チームの方々が一生懸命ワークシートや関連資料諸々作っていただき、圧巻のワークショップになりました。おそらく日本で初めての昆虫ウェルフェアに関するワークショップであったと思います。
参加者も様々なバックグランドを持つ方々(昆虫学者から微生物学者、工学系社会人から仏教研究者まで)に恵まれ、すべての視点が新鮮で、大変勉強になりました。
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